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【コカトピ!】野生動物にも蔓延していた新型コロナウイルス

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文/保谷彰彦

ペットに加えて野生動物でも…

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症のパンデミック(世界的大流行)によって、世界中で7億7,100万人以上が感染し、600万人以上の死者が出ています。いま脅威となっているのが、より強毒性で感染力の強い変異体の出現です。そうした新たな変異体の発生源として心配されているのが野生動物です。

 動物の新型コロナウイルス感染例として、ペットに加えて、オジロジカやミンクなど数種の野生動物が知られていますが、実際に野生動物にどのくらい感染が広がっているのかは不明でした。

 このほど、バージニア工科大学(アメリカ)などの研究グループは、網羅的な調査から、野生のシカネズミ、キタオポッサム、アライグマ、ウッドチャック、トウブワタオウサギ、アカコウモリを含む6種で、新型コロナウイルスの陽性反応が検出されたことを報告しました。

ここまで公開

ヒトの活動が活発なところで拡散!?

 この研究は、2022年5月から2023年9月にかけて、アメリカのバージニア州とワシントンD.C.の野生動物を対象に行われました。具体的には、23種の動物から鼻や口の粘液サンプル798本を採取し、そのうち6種からは血液サンプル126本を採取して、詳しい分析がなされました。

 その結果、6種の野生動物で新型コロナウイルスの陽性反応が確認されたのです。さらにヒトの活動が活発な地域に棲む動物ほど感染率が高いこともわかりました。また、6種9個体から見つかった新型コロナウイルスのゲノム配列はオミクロン株の変種で、当時ヒトに流行していた変異型とほぼ一致しました。これらのことから、ヒトから動物への感染が、少なくとも7回起きていた可能性が示されました。

 野生動物への新型コロナウイルスの感染は、ヒトの活動が活発な地域で生じている可能性が示された一方で、感染経路はまだわかっていません。研究グループでは廃水やゴミを主な感染源として考えています。なお、野生動物からヒトへと新型コロナウイルスが感染した事例はなく、現時点では野生動物との関わり方を恐れる必要はないようです。

ヒトから動物への感染が疑われる事例のイラスト。?マークは動物から感染した可能性もあることを示す。いずれも遺伝情報にもとづいて明らかになった。矢印の色はウイルス(SARS-CoV-2)の系統の違い、矢印の上の英数字は変異型の種類、そして動物のシルエットはサンプルが採取された種を示す。【Goldberg AR. et al. (2024) Nature communications.https://www.nature.com/articles/
s41467-024-49891-w より引用】

このニュースの引用元

論文

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植物学者、文筆家。博士(学術)。主な著書は『ワザあり! 雑草の生き残り大作戦』『身近な草花「雑草」のヒミツ』(共に誠文堂新光社)、『タンポポハンドブック』『生きもの毛事典』(共に文一総合出版)、『ヤバすぎ!!! 有毒植物・危険植物図鑑』『有毒! 注意! 危険植物大図鑑』(共にあかね書房)、『わたしのタンポポ研究』(さ・え・ら書房)など。中学校教科書「新しい国語1」(東京書籍)に「私のタンポポ研究」掲載中。 https://www.hoyatanpopo.com/


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