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文/井上榛香
スターライナーで不具合が発生!
航空機の製造で知られるアメリカのボーイング社が開発した、新型の宇宙船「スターライナー」の有人飛行試験で想定外の事態が起きました。

スターライナーは、NASAの2人の宇宙飛行士を乗せて6月5日に打ち上げられ、翌6日に国際宇宙ステーション(ISS)に到着しました。当初は、2人の飛行士は1週間ほどISSに滞在したのちに、スターライナーで帰還する予定でした。しかし、スターライナーの装置に不具合が出ていることが発覚。結果的にNASAはスターライナーに飛行士を乗せて帰還させることを断念しました。
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2人の飛行士は、9月以降に打ち上げられるSpaceX社のクルードラゴン宇宙船運用9号機(Crew-9)に乗って、2025年2月頃に帰還することに。クルードラゴンは4人乗りの宇宙船です。Crew-9に搭乗する4人の飛行士はすでに決まっていましたが、帰還時にISSに滞在する2人の飛行士を乗せるため、急遽メンバーを変更して2名だけを乗せて打ち上げられることになったのです。
一方、無人のスターライナーは9月7日にISSから切り離され、その後パラシュートを広げて、アメリカ・ニューメキシコ州の砂漠に無事に着陸しました。NASAはスターライナーからデータを回収して、今後の開発に活かす考えです。

宇宙船「スターライナー」とは?
そもそも、スターライナーとは、NASAのスペースシャトルが2011年に引退した後に、宇宙飛行士をISSへ輸送する役割を引き継ぐ後継機として開発が始まった宇宙船です。SpaceXのクルードラゴン宇宙船も、スターライナーと同じNASAのプログラムで開発されました。
スターライナーはこれまでにISSへのドッキングを目指す2回の無人飛行試験を行いました。1回目は2019年12月。ロケットで打ち上げられ、宇宙空間にやって来ることはできましたが、不具合が発生し、ISSへのドッキングは諦めて帰還することになってしまいました。このとき、不具合の原因となったのは、宇宙船のシステムのなかにあるタイマーの時間がズレていたことだと言われています。タイマーの時間がズレていたせいで計画とは違うタイミングで燃料を使ってしまい、ISSに向かえなくなってしまったのです。タイマーのズレは小さなミスのように思えるかもしれませんが、宇宙では大きな失敗につながってしまうこともあります。2回目の無人飛行試験が実施されたのは、2022年5月のことでした。このときは、大きな不具合が起きることはなく、ISSにドッキングすることができました。
2回の無人飛行試験をへて、ようやく迎えた今回の有人飛行試験は、開発の最終段階にあたる重要なステップでした。果たしてスターライナーは、無事に開発を終え、宇宙船としてデビューできるのでしょうか。今後もスターライナーのニュースには注目が集まりそうです。
文