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文/保谷彰彦
人気者ジャイアントパンダは絶滅危惧種
動物園で人気者のジャイアントパンダは、野生では中国にのみ生息する絶滅危惧種で、野生の推定個体数は約2000頭です。生息地における森林の伐採や開発、家畜の放牧など、さまざまな人間活動により、その生存が脅かされてきました。ジャイアントパンダは野生動物保護の象徴的な種であり、さまざまな保全策がとられています。しかし、従来の繁殖技術だけでは、個体数を十分には増やすことができず、さらなる技術開発が望まれてきました。
このほど、中国科学院などの研究チームは、ジャイアントパンダの皮膚細胞を再プログラムして、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作ることに成功しました。これはジャイアントパンダの繁殖にとって大きな前進です。
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iPS細胞がパンダを救う!?

2006年、山中伸弥博士らが世界で初めて作製に成功したiPS細胞は、皮膚などの細胞に数種類の遺伝子を導入することで、受精して間もない細胞のように、臓器や生殖細胞を含む、あらゆる細胞になれる能力をもっています。この夢のような能力をもったiPS細胞は、医療への応用研究が進められ、皮膚の細胞などからiPS細胞を作りだすプロセスが改良されてきました。
iPS細胞の技術は、絶滅危惧種の動物の繁殖にも役立つ可能性があり、実際に希少なシマウマ、タスマニアデビル、キタシロサイなどの野生動物でiPS細胞が作られています。しかし、皮膚細胞をiPS細胞に変えるプロセスはそれぞれの種によって異なるため、動物ごとにプロセスの改良が必要になります。
今後は、ジャイアントパンダのiPS細胞から生殖細胞へと成長させるための研究が進められるそうです。繁殖への応用に期待が高まる一方で、ジャイアントパンダの野生での暮らしを守る活動も大切さが増します。
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