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【コカトピ!】イチゴを収穫できる柔らかいロボットハンド!

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文/白鳥 敬

いろいろな作物を1つの機械で収穫するのは難しい

 農業の人手不足から、農作物を収穫する時にロボットハンドを使うことが注目されています。しかし課題もあります。農作物は生物で、乱暴に扱うと傷が付き、1つ1つの柔らかさや硬さ、大きさも違います。このような農作物のすべてに対応できるロボットハンドの開発は難しいと考えられていました。

 そこで、1つのロボットハンドで多くの農作物の収穫に対応できることを目指して、北陸先端科学技術大学院大学のグループが研究を行いました。研究グループは柔らかくて薄い二重構造の膜でできたロボットハンドを製作して、一方の側の膜を捻ったときにできるシワで力を加減することで、農作物を傷つけずに収穫する方法を考えました。

ここまで公開

掴む農作物の性質を分析、ちょうどいい力加減に!

 ロボットハンドが農作物を掴む時には、その対象物に合わせて力の大きさと分布を最適化しなければなりません。研究グループは、一様ではなく複雑に形を変える非線形な変形にかかる力を解析する専用のコンピューターソフトウェアを使って、力の最適化を行いました。

 このシミュレーションによって、掴みたい物の高さ・直径・厚さ等と、掴む機能の相関関係が明らかになったといいます。このロボットハンドは以前から研究を続けられてきましたが、このたびより正確に作動するようになり、キノコやイチゴを上手に収穫できました。将来、このような最新技術で農業の人手不足が改善できるといいですね。

開発された「ROSEハンド」でキノコ(上)とイチゴ(下)の作物の収穫を行う様子。農作物の硬さに関わらず確実に掴むことができ、効率よく収穫できる。(提供/Ho研究室)

論文

白鳥 敬 著者の記事一覧

サイエンスライター。1953年、富山県生まれ。成蹊大学文学部卒。出版社の編集者を経て、科学技術分野の執筆活動を行なっている。自然科学から工学まで幅広い分野が対象で、航空分野にはとくに造詣が深い。


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