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文/斉藤勝司
親じゃなくても子育てを手伝う魚がいる
読者のみんなの中にも、いたずらをしたり、勉強をさぼったりして、お父さん、お母さん、学校の先生に叱られ、罰を受けたことがある人はいることでしょう。
では、野生生物の世界でも行動によって罰を受けることはあるのでしょうか。この疑問に対する答えを得るため、大阪公立大学の研究グループは、アフリカのタンガニーカ湖に生息するシクリッドと呼ばれる魚類の仲間(学名:ネオランプロログス・サボリ)を対象にした研究に取り組みました。

多くの魚が卵を産みっぱなしであるのに対して、このネオランプロログス・サボリは子育てすることが知られています。しかも、「ヘルパー」と呼ばれる両親以外の魚が、巣の掃除をしたり、近づいてきた他種の魚を追い払ったりといった手伝いをする協同繁殖魚なのです。
こうした習性に注目した研究グループは、ネオランプロログス・サボリの両親と、その両親の子であるヘルパーの群を用意して、ヘルパーが手伝いをさぼったときの親の行動を観察する実験を行いました。
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ヘルパーがさぼると、親魚が罰として攻撃!

ただし、水槽の中で自由に行動させていたら、ヘルパーが必ずさぼってくれるわけではありません。そのため研究グループはヘルパーを透明のケースに入れ、親魚から隔離しました。そして同じく透明のケースに他種の魚を入れて、侵入者として近づけましたが、ヘルパーは隔離されているため、侵入者を追い払うことはできません。邪魔されているとはいえ、親魚から見ればヘルパーはさぼっているように見えるでしょう。
る。(提供/大阪公立大学理学研究科 日髙諒)
その結果、手伝いをできなかったヘルパーは親魚に攻撃され、その後、より手伝うようになりました。親魚からの攻撃を長く受ければ受けるほど、ヘルパーが手伝う時間が長くなり、親魚の攻撃が罰としての効果があることが確かめられました。人間と同じように、魚もさぼると罰を受けることが明らかになりました。

文
