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【コカトピ!】タワマンに効率的に荷物を配達する方法を数学で考えてみた

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文/白鳥 敬

タワマンに荷物を運ぶのは大変!

 超高層のいわゆるタワマン(タワーマンションの略)が増えてきました。タワマンには何100所帯も入っていることが多く、宅配の配送員の人が高い階までエレベーターを使って荷物を届けるのに時間がかかります。さらに最近は働き方改革が実施され配送員の数も足りなくなっています。

 東京大学先端科学技術研究センターの江崎 貴裕 特任講師・井村 直人 特任研究員・西成 活裕 教授、三井不動産株式会社の藤塚 和弘さんらの研究グループはこの課題にチャレンジしました。考えたのは、高層マンションの建物の内部にドローンが垂直に飛行できる専用の空間を設置し、ドローンが荷物を乗せて、各階に設置した専用のポート(離着陸する場所)まで荷物を届けるというものです。

ここまで公開

 研究グループは、この「ドローン垂直配送システム」の数理モデル(計算によって効果を推し測る方法)を構築し、この配送システムが十分効果的であることを示しました。

ドローン垂直配送のイメージ。(プレスリリースより)

効率のよい方法を数学でシミュレーションした

 研究グループは、このシステムで「荷物の積み下ろし」「上昇・降下の飛行時間」「バッテリーの交換」といったドローン配送システムの一連の仕事の流れをモデル化し、配送用に実際に使われているドローンを想定して、ドローンの台数や利用頻度などの組合せを変え、配送の効果がどう変わるかを調べてみました。
 「必要なドローン配送の需要の多さ(ポワゾン過程という数学理論を使用)」・「ドローンの台数による効果(待ち行列理論を使用)」・「どれくらいの需要があればエレベーターより有利か(モンテカルロ・シミュレーション法を使用)」について調べてみたところ、一定の条件ではドローンを使った方がコストが安く時間の無駄も少ないことがわかりました。

 研究グループは、大きくて重い荷物はエレベーターで、小さな荷物はドローンで運ぶなどのすみ分けを行うことで、十分に効果があると考えています。次は、数値シミュレーションではなく実際のドローンを使って実証していきたいといいます。

ドローンによる垂直配送システムの概略図。(プレスリリースより)

論文

白鳥 敬 著者の記事一覧

サイエンスライター。1953年、富山県生まれ。成蹊大学文学部卒。出版社の編集者を経て、科学技術分野の執筆活動を行なっている。自然科学から工学まで幅広い分野が対象で、航空分野にはとくに造詣が深い。


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